昨今の大麻のニュースに絡んで、(Mixiの)某コミュでさっそく話題になってたんだけど。
「大麻って害があるの?」と。
昨日のNHKのクロ現でも大麻問題を取り上げてたけど、一方、WEBで大麻についてググれば、無害だとか少なくともタバコや酒よりも安全、ていってるページも山ほどあるわけで。
そのへん、科学と擬似科学の境目にある気がする。
大麻って、純粋に自然科学的な問題と、社会的な法規制や歴史なんかの人文科学系の問題があるんだよなあ。
自然科学的な問題でいえば、れっきとしたドラッグ、向精神薬の一種なんだけど、じゃあ、人間の精神や肉体に及ぼす効果がどれくらい強いのか、他の薬物と比べてどう、ってのがハッキリしない。
これが、コカインや覚醒剤やLSDといったハードドラッグ(コカインも覚醒剤もLSDも、天然由来の成分なんだが、ちっともヒトに優しくないな)だと、もっとはっきりとヨクナイ効果があるわけで。
しかし一方で、アルコールてものがあって......これもハードドラッグに分類される薬物なんだよな。依存性も危険性も高い。
あるいはニコチンも、依存性も高いし、危険性も高い。ニコチンそのものの毒性もあるけど、火事の原因として放火とタバコが毎年首位争いするくらいで。
(タバコの火事っつーと。横山光輝と、ホテルニュージャパンを思い出すんだよなあ)
煙による塵肺とか肺癌については、タバコでなくてもタダの紙を巻いて吸っても同じことだろうが。
それで、肝心の大麻の毒性については、実はよくわかってないらしい......日本では研究がほとんど進んでない、なにしろ研究目的の所持すら許されてないようで。
日本より研究の進んでる欧米からの報告だと、大麻の毒性はアルコールやタバコより低いらしい。
大麻は、分類ではソフトドラッグになるようだ。急性中毒での死亡例が報告されてないのと、依存性が低いこと。
Wikipedia見ても。(大麻精神病 - Wikipedia)
ケッキョク。大麻そのものに酒やタバコ以上の毒性がある、という結論は出ていないようだ。
ただし......専門的な言い回しってのは注意が必要で。科学は真理ではなく近似に過ぎないので。
大麻の有害性について、研究があんまり進んでない、つまりサンプルが少ないのと。
人間に対しての影響が問題になるんだけど、人体実験もそう簡単にできない(戦争中とか、倫理面から研究者を監視する機構が働いてない状況でないと)し、薬物て生物種によってかなり影響が違うんで、動物実験も難しい。
(マタタビなんか猫には効くけど同じ哺乳類の人間には効かないしなあ)
「急性中毒での死亡例が報告されてない」というのは文字通り、そういう事件を専門家が学術誌などで発表してない、というだけのハナシで。もしかしたら急性中毒で死んだ人もいるかも知れないけど学術誌などに報告されてない、あるいは他の死因と診断されてしまってるのかも知れないし、あるいはそういう死亡例を扱った専門家はいるけど公に発表していない、のかも。
ハードドラッグな酒やタバコと、ソフトドラッグの大麻との、扱われ方の違いが、人文科学系の問題になるわけだ。
酒が危険な薬物なのに禁止できないのは、まさに、歴史や伝統の問題。現にアメリカで禁酒法なんてやってみたけど酒より禁酒法の害のほうが大きかったわけで。
(ずっと危険な密造酒が横行して、死んだり障害負った人が多かったし、あるいはギャングの資金源になったり)
タバコについてはもっと複雑で......15世紀にアメリカ大陸から他の地域へ広まっていったんだけど、当時からタバコを胡散臭がる人達はいたわけで。
例えば、シェイクスピア(16世紀)の作品には、タバコとワインは出てこないんだそうな。当時の国王、ヘンリー8世やエリザベスがタバコを嫌ってたのが理由らしい。
(ワインは、イギリスの宿敵のフランスの産物だから、と。たしかアジモフが書いてたハナシ)
日本でも。江戸時代、山田浅衛門の初代の話で、刀の試斬の場で、嫡男だった人が煙管を吸ったってのが無礼だってんで廃嫡されて弟子が2代目を継いだ、そうな。つまり当時すでに公式の場での喫煙は禁止されてたわけだな。
明治時代だと子供の喫煙も許可されてた。子供の喫煙が禁止されたのは贅沢品だからであって依存性が問題になったわけではない――(と高校ん時の社会の教師がいってたが、ほんとかどーか)
だけど、現代でも喫煙そのものが禁止されていない理由は、第一に、政府の税収としてバカにできないから。それに他の向精神薬よりかは派手な影響がないし。
今でも、各国で全面禁止しない理由の一つは、税金の問題。
......ても、日本で覚醒剤だのが禁止されたのだって戦後なんだけどな。
メタンフェタミン(商品名ヒロポン)なんて最悪ていわれるドラッグだって、戦争中は愛国薬っていって軍で使ってたくらいだし。特攻機のパイロットに飲ませだり。
そんなわけで、終戦直後に、軍から放出されたヒロポンが広く出まわってシャブ中が増えて社会問題になったんで規制されるようになった......と。
(ヒロポンはエフェドリンから合成されるけど、エフェドリンは生薬の麻黄から。発見したのは日本人。日本の偉大な発明品の一つなわけだ)
坂口安吾あたりの無頼派作家とか。(「坂口安吾 安吾巷談 麻薬・自殺・宗教」......これ読むと、ヒロポンの錠剤を肴に酒飲んでたりしたらしいな;「覚醒剤の害を経験したことがない」なんて書いてるけど、薬物中毒の末に49才で死んでるし。宗教を麻薬に例えるのはレーニンの引用だろか。共産主義を批判してるくせに)
折口信夫も遺品整理してたらゴッソリとヤクが出て来たとかどーとか(弟子の弟子から聞いたハナシ)。
タバコを禁止しない理由の、もう一つは。
タバコ程度の比較的穏健なドラッグを禁止すると、地下に潜って、ギャングの資金源になることと、危険なドラッグへの呼び水になってしまうこと。
だから、タバコくらいは許可しておこう、と。
だけど、これ、大麻擁護論でも同じことがいわれるんだよな;
(オランダはその理由で大麻を管理しつつ許可してる)
昨日のクロ現では、大麻を規制する側から書いてた――まあNHKとしては当然のスタンスだ――んで、危険性を強調してたんだけど、でも、しょ――じきハッキリしない。
啓蒙活動とかしてる人達をとりあげてたんだけど、科学的に、大麻を薬品として研究してる人が一切出てこないから......というか日本にはいないんだろか;
依存症の更生施設も紹介してたけど..................あくまでも更生施設であって、治療施設じゃないんだよな;
別に大麻でなくても、酒やギャンブルでも、同じように依存症になるわけだし。
あるいは、大麻をキッカケに、ハードなドラッグ、コカインや覚醒剤に発展して、それの依存症のほうが重篤なのは確かで、果たして大麻だけで更生施設に入らなきゃいけないような事態になるのかどーか。
あと、(Mixiの)コミュで出た話題のひとつで、大麻の毒性が酒やタバコより低いのだとしたら、大麻の所持や喫煙だけで刑事罰になるのは、あまりに重過ぎるんじゃないか、それが社会復帰の妨げになるんじゃないのか、と。
このへんは日本の社会のヨクナイとこって気もする。
規制を厳罰化して、ちょっとでも道を踏み外したら人生オワリ、それがいやなら全く道を踏み外すな、って制度にしちゃうんだよね。
ちょっとした好奇心からのミスへのフェイルセイフをあんまり考えてないような。
さらに社会的な問題を挙げるなら。
そうやって、禁止派は危険性を強調し、擁護派は無害だと主張するけど、その間の隔たりがあまりにも大きすぎる。
真実はその間のどこかにあるはずなんだけど、どっちも「自分のほうが正しい」というだけで、妥協点が見えてこない。
そうすると、情報の信頼性が薄れるわけだよ。
「TVや新聞では危険だっていってるけどウソだ、マスゴミを信用するな」って風潮が出来ちゃう。
実のところ、情報の信用性っていうなら、マスコミのほうがまだ、WEBページよりも信頼性が高いんだけど、マスコミを批判するのがカッコイイって思ってる、一種の権威主義があって。
それに、人間はだいたい本能的な欲求に忠実だから、禁欲的なほうよりも、ハッピーなほうを採用したくなるでしょー。
まあ、禁止派も擁護派も、どっちにしろ、ほとんどは、生化学の研究のプロが自分の研究で出た結論に基づいて薬理作用について発言してるわけじゃないから。
だからさ、そういう、具体的な問題点を明確にしないと、議論が明後日の方向いっちゃいそうで。
そゆのも問題だよなー。
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